WarDrivingのガイドライン

 

送受信ブースター

最終的に・・

WarDrivingで無線LANの長距離化を考えていくと、最後には電気的に電波を増幅するブースター(ブタ)使用に行き着きます。 どうしてかというと、

・利得の高い指向性アンテナが使いにくい

・とにかくデカくて目立つアンテナはダメ

・細い同軸を使う事が多く、ケーブルロスが出やすい

などなどの不利な部分を解消するのが難しいから。コールサインを名乗って堂々と運用するアマチュア無線と違って、コソコソというわけでもないけど、あんまり目立たないようにしてることが多いWarDrivingでは、でかいアンテナに太いケーブルなんて大敵。

それに実際の設置で、車内に引っ張り込み配線するケーブルは、無線LANカードのコネクタの都合とかもあって、1.5などとっても細いもの。

アンテナでそれほど利得が得られず、ケーブルでのロスも大きく、最低でも3mは引っ張らないと適当な位置にPCが配置出来ない、っていう悪条件をクリアするには、送信受信ともに電波を電気的に増幅するのが手っ取り早い、ってわけです。

一般的に、送信出力が1000mW程度で、受信ゲインを20dBほど上げてくれるものが主流。カードの出力は最高で400mWですから、それの2.5倍。トンでもないですね。

 

 

 

ブタの由来

さてブースターのことを略してブタと呼んでますが、私が考えたわけではなくて、一応そういう言葉があります。

ブースターをブタ、DC-DCコンバーターをデコデコ、アンテナをタケヤリ、マイクをガチャコン、赤信号で止まるのを赤タン強制半固定、パトカーをパンダ、警察署をパンダボックス・・・と続くんですが、これはトラックの違法CB愛好家やアマチュア無線での隠語なんです。

ブースターで1000W出した、というのをブタで1キロ炊いた、と言います。なんか炊飯器みたいな。ちなみにトラックのCBで1000Wは、ほぼ日本国中へ飛んでく強度。北海道で喋ったのが沖縄あたりで聞こえるそうな。電波って効率いいんですねぇ。

トラックでは一律ブタですが、アマ無線では電波形式F3専用のアンプだけをブタと呼び、それ以外の形式やマルチモードなアンプの事はリニアと呼んだりするんですが、まぁブタってなんかカワイイのでここではブタと呼びます。

実際のブタ

無線LANの802.11b/gは2400MHz帯なので、同じく2400MHz帯のアマチュア無線用アンテナが使えます。が、ブタはそういうわけにいきません。

無線LANアダプタは、1秒間に100回以上も送受信のオンオフをしてます。データ送る電波を出して、すぐ切って今度は受信して、すぐやめてまたデータ送って・・の繰り返し。

アマチュア無線や業務用で2400MHzのブタはあるのですが、この送受信オンオフの速さに付いてこられるようには作られていませんから、無線LANに代用するのは無理なわけです。


そこで困ったことがひとつ。日本では無線LAN用のブタは売ってません。売ってないというより、たぶん作ってないんでしょう。作ってたとしても、普通の人が買えるものではないはず。

もし手に入れるとしたら、当然海外製品になってしまいます。

 

 

これが海外製のブタ。10〜100mWの入力に対応していて、送信出力を16dB、受信のゲインを18dBほど上げてくれます。

もちろん一例で、いろんな製品があります。屋内用以外にも、防水加工されてる屋外向けの製品もあって、クルマの屋根に直接貼り付けてしまえるようなのも。

ブタの利用法

こんなふうになります。

アンテナからすぐのところへ、なるべく太い同軸を使って接続。PCへは細い同軸でも十分で、ブタを付けない場合よりも長い距離引き回しても大丈夫。他にブタ用の電源が必要になりますので(ふつうはACアダプタ付いてますが)、クルマの12Vを100Vへ変換するインバーターがあった方が良いでしょうね。

ちょっと注意する事が。ほとんどのブタは最大入力パワーが決まっています。今回例に取った製品ですと、最低10mWから最大100mWの範囲で入力しなければいけません。

ハイパワーカードなど、300mWもある出力をそのままブタに入力したら、ブタがオーバーロードで壊れてしまうのです。もちろん、多くのカードは送信パワーの最大値を設定出来ますから、その部分に気をつけていれば良いのですが、設定が変わってしまったりすると大惨事に・・。

おすすめとしては、1mW〜10mWの入力範囲を持つようなブタ。これなら日本で普通に市販されてるメルコあたりのカードを使えば良いですね。

効能

ブタの効能ですが、一番はやっぱり遠距離通信が出来ること。普通だとケーブル内減衰でPCに届くまでに消失してしまうような、遠くのAPの弱い電波でも、アンテナ直下のブタにさえ届いていれば増幅がかかりますから、余裕でPCまで届く仕組みです。

いくらハイパワーな無線LANカードを使ってカモAPまで電波が届いていたとしても、カモAPの電波を自分が拾えなければ通信にはなりません。

ブタがない状況では、一般的な条件下(住宅地など)でおおよそ、200m〜300mが限界と思われます。これがブタを付けると、400〜500mほどになるようで、まぁ恐ろしい距離ですね・・。

もうひとつの効能は、ブタからPCまでの距離がある程度自由になること。国産の弱い出力な無線LANカードでも、どうにかブタまで電波が届いていればよいので、車内の配線が楽に引けます。細いケーブルで5m以上の配線をしても平気でしょう。

乗用車であれば、ブタがない場合、屋根にアンテナを付けて後席までぎりぎりで3m以内な配線が、携帯電話の外部アンテナに見せかけられる、トランク基台を使ったアンテナ設置も可能になるわけです。1BOXのように大きなクルマでなければ、アンテナは結構目立つ存在なのでこれは便利。

欠点

ブタを付けるときに一番問題なのは、受信感度でカモAPの距離を測ることが出来ない点。ブーストされて全部強度の高い電波になってしまいます。つまり、ほんとに元から強い電波(APが近い)なのか、ホントは弱いけどブーストされて強くなってるのか見分けが付かないってこと。

カモAPから距離を取りたい場合には致命的で、対処法は別に用意した小型の八木などを振ってみて、もともとの弱い電波を拾ってみるくらい?またはディテクタなどで検出したAPから、わざと距離を取ってブタシステムでそのAPへアクセスするか、など。

アッテネーター(感度を下げる機能or装置)の付いてる無線LANカードがあれば一応解決しますが、ほとんどないですね・・。

もうひとつ欠点として挙げられるのは、ブタを通すと電波の波形が若干潰れてしまう点。これはパワーアンプの構造上仕方ないもので、まぁカモAPのエラー訂正機構がほとんど修正してくれるためあまり問題にはならないと思います。が、なるべく綺麗な電波を送りたいですよね。

一般に、信号強度の弱いものを高出力に上げる、つまり入力と出力の比が大きいと信号のクオリティは落ちやすいので、この比が少ないものを選ぶのもひとつの手。1mWを1000mWにするよりも、100mWを1000mWにするほうが、劣化は少なくて済みます。

いろんなブタ

http://www.fab-corp.com/home.php?cat=269

あたりに何種類か載ってます。Googleで「BI DIRECTIONAL Amp 802.11」などと検索してみるといろいろなブタがヒットしますね。